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不動産を売却するとき、どの不動産会社へ依頼するかによって、売却の進み方や成約までの期間、最終的な売却価格が変わることがあります。
複数の会社へ査定を依頼すると、最も高い査定価格を提示した会社に任せたくなるかもしれません。しかし、査定価格は不動産会社が買い取る金額でも、将来その価格で売れることを保証する金額でもありません。
査定価格が高くても、その根拠が弱かったり、実際の購入希望者に届く販売計画がなかったりすれば、売り出した後に問い合わせが入らず、値下げを繰り返す可能性があります。一方、査定価格だけを見ると控えめでも、物件の特徴や地域の需要を把握し、売却条件に合った販売方法を具体的に説明できる会社もあります。
大切なのは、会社の知名度や査定価格だけで決めるのではなく、査定の根拠、販売戦略、担当者の知識と対応、売主との相性などを総合的に比較することです。
この記事では、不動産売却で失敗しないための不動産会社の選び方を、大手と地域密着型の違いも含めて中立的に解説します。
■この記事でわかること
💡査定価格が高い会社を選ぶだけでは不十分な理由
💡不動産会社を比較するときの7つのポイント
💡大手と地域密着型の特徴と選び方
💡担当者の知識や対応を見極める方法
💡媒介契約を結ぶ前に確認したい質問
💡不動産会社選びで起こりやすい失敗と対策
💡自分に合う会社を選ぶための具体的な手順

不動産会社の役割は、価格を査定して広告を掲載するだけではありません。物件の調査、売出価格の検討、販売資料の作成、購入希望者への情報提供、内覧対応、条件交渉、契約書類の準備、決済・引渡しまで、売却の多くの場面に関わります。
国土交通省も、媒介契約によって不動産会社が通常行う業務として、物件の調査や価格査定、相手方の探索、交渉、契約・決済・引渡しに関する業務などを示しています。どこまで対応するかは媒介契約の内容によって異なる場合があるため、契約前の確認が必要です。
■不動産会社によって差が出やすい部分
不動産会社によって差が出やすいのは、主に次の部分です。
・物件や権利関係を調査する力
・地域の相場や購入需要に関する理解
・査定価格の考え方と説明のわかりやすさ
・売出価格と値下げ時期の提案
・写真、間取り図、紹介文など広告の品質
・ポータルサイトや自社顧客など販売経路の使い方
・問い合わせや内覧後の改善提案
・買主側との価格・条件交渉
・境界、契約不適合責任、残置物などのリスク説明
・売主への報告内容と連絡の速さ
不動産会社を選ぶときは、「何円で売れそうか」だけでなく、「その金額で売るために何をするのか」「売れなかった場合にどう見直すのか」まで確認する必要があります。
■会社だけでなく担当者も売却に影響する
同じ不動産会社であっても、担当者によって経験、得意分野、説明の仕方、連絡の頻度などは異なります。
会社としての広告力や顧客基盤が整っていても、担当者が物件の特徴を理解していなければ、購入希望者へ魅力を十分に伝えられません。反対に、担当者の対応が丁寧でも、会社の販売体制が物件に合っていないこともあります。
そのため、会社の規模や実績と、実際に担当する人の知識・対応を分けて確認することが大切です。
💡不動産会社を選ぶ前に売却全体の進め方を確認したい方は、「不動産売却の流れや費用を解説した完全ガイド」も参考にしてください。
複数社へ査定を依頼したとき、査定価格に数百万円の差が出ることがあります。その差を見ると、最も高い会社が物件を高く評価しているように感じられるかもしれません。
しかし、仲介による売却では、最終的な価格を決めるのは市場にいる買主です。不動産会社が提示する査定価格は、周辺の成約事例、現在の売出物件、物件の個別条件、市況などから予測した「おおむね売却できると考えられる価格」であり、成約価格を約束するものではありません。
■査定価格と売出価格と成約価格は異なる
不動産売却では、次の3つの価格を区別する必要があります。
| 価格の種類 | 意味 | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| 査定価格 | 不動産会社が相場や物件条件から算出した売却予想価格 | 不動産会社が意見として提示 |
| 売出価格 | 広告に掲載し、購入希望者へ示す価格 | 売主が最終決定 |
| 成約価格 | 売主と買主が合意し、実際に契約する価格 | 売主と買主の交渉で決定 |
査定価格が高いからといって、その価格で売り出さなければならないわけではありません。また、高い価格で売り出せても、買主から選ばれなければ成約には至りません。
💡机上査定と訪問査定の違いや、査定価格の基本的な考え方は、「不動産査定とは?机上査定と訪問査定の違い」で詳しく確認できます。
■高い査定価格にも合理的な場合と注意が必要な場合がある
他社より高い査定価格が、必ずしも不適切とは限りません。
たとえば、直近に近隣で条件の似た物件が高く成約している、同じマンション内に強い購入希望がある、物件の希少性を評価できる、土地の利用方法について具体的な提案があるなど、明確な理由があれば高い査定にも合理性があります。
一方、次のような場合は慎重に確認した方がよいでしょう。
・類似する成約事例を示さない
・「このくらいなら売れます」と結論だけを伝える
・他社より高い理由を具体的に説明できない
・物件の欠点や売却上の課題に触れない
・査定価格と売出価格を混同して説明する
・高値で売り出した後の見直し方針がない
・媒介契約を急がせる
宅地建物取引業者が媒介価額について意見を述べる場合は、その根拠を明らかにすることが求められています。したがって、売主は遠慮せず「どの成約事例を参考にしたのか」「物件のどの条件を加点・減点したのか」と確認して構いません。
■高すぎる売出価格で起こり得ること
相場から離れた価格で売り出すと、購入希望者の検索条件から外れたり、比較対象になっても割高と判断されたりすることがあります。
売却開始直後は新着物件として注目されやすい時期ですが、その時期に問い合わせが集まらないと、販売期間が長期化する可能性があります。その後に値下げしても、「長く売れていない物件」と受け取られ、購入希望者からさらに価格交渉を受ける場合もあります。
ただし、売主の事情によっては、時間をかけて高値を目指す方針が適していることもあります。問題は高く売り出すこと自体ではなく、売却期限や競合状況を考えず、根拠と見直し計画のない価格を設定することです。

不動産会社を比較するときは、一つの項目だけで優劣を決めるのではなく、複数の観点を組み合わせて判断します。特に確認したいのは、次の7つです。
■1.査定価格の根拠が具体的か
査定書では、金額より先に根拠を確認します。
比較対象となる成約事例は、できるだけ所在地、駅距離、土地面積、築年数、間取り、道路条件などが似ているものが適しています。成約時期が古い場合は、現在の市況との違いも考慮する必要があります。
査定の説明を受けるときは、次の点を質問してみましょう。
・どの成約事例を参考にしたか
・現在売り出されている競合物件は何か
・物件のプラス要因とマイナス要因は何か
・査定価格で売れると考える期間はどのくらいか
・早期売却を優先する場合の価格はいくらか
・高値を目指す場合は、どの範囲まで現実的か
・反響が少ない場合、いつ何を見直すか
複数社の査定価格が近くても、根拠や売却期間の想定が異なることがあります。価格の数字だけでなく、査定に至る考え方を比較してください。
■2.売却する地域と物件種別を理解しているか
不動産会社には、それぞれ得意な地域や物件種別があります。
土地の売却では、接道、地形、高低差、境界、用途地域、建築条件などの確認が重要です。中古戸建てでは、建物の状態、修繕履歴、設備、耐震性なども関わります。マンションでは、同一マンション内の成約事例、管理状況、階数、向き、眺望、修繕積立金などが判断材料になります。
💡土地を売却するときの手続きや確認事項については、「土地売却の流れと注意点」で詳しく解説しています。
また、同じ市内でも駅や学区、町名によって購入層や需要は異なります。たとえば春日井市では、勝川・春日井・神領・高蔵寺など、駅ごとの交通利便性や住宅地の特徴を一つの平均価格だけで判断できません。名古屋市でも、区だけでなく最寄り駅、道路条件、用途地域、周辺の住宅需要などを細かく見る必要があります。
会社の実績を確認するときは、単に「売買実績が多いか」ではなく、次のように具体化して質問すると判断しやすくなります。
・この地域で最近どのような物件を扱ったか
・土地・戸建て・マンションのどれを多く扱っているか
・自分の物件と似た条件の売却経験があるか
・その地域ではどのような購入希望者が多いか
・売却時に注意すべき地域特有の条件があるか
💡春日井市で売却を検討している場合は、「春日井市の不動産売却相場」も、査定内容を比較する際の基礎資料になります。
■3.販売戦略が物件と希望条件に合っているか
良い販売戦略は、単に「インターネットへ掲載します」で終わりません。
物件の想定購入者を考え、どの媒体で、どのような情報を伝え、どの順序で販売するかが具体化されています。
確認したい販売方法の例は次のとおりです。
・不動産ポータルサイトへの掲載
・自社ホームページへの掲載
・レインズを通じた他社への情報提供
・既存顧客や購入希望者への紹介
・店頭、チラシ、現地看板など地域向けの広告
・オープンハウスや現地見学会
・建築会社や買取事業者などへの情報提供
すべての方法を使えばよいわけではありません。近隣に売却を知られたくない場合や、居住中で内覧回数を抑えたい場合など、売主の事情によって適切な方法は変わります。
広告内容についても、写真の枚数や明るさ、間取り図の見やすさ、周辺環境の説明、土地の利用イメージなどで印象が変わります。契約前に過去の掲載例を見せてもらうと、販売資料の品質を確認しやすくなります。
■4.売却活動の報告と改善方法が明確か
売却活動は、広告を掲載したら終わりではありません。問い合わせ数、閲覧数、内覧者の感想、競合物件の増減などを確認し、必要に応じて販売方法を調整します。
報告を受けるときは、活動件数だけでなく、その結果をどう分析しているかが重要です。
たとえば「ポータルサイトへ掲載しました」という報告だけでは、反響の良し悪しを判断できません。閲覧数は多いのに問い合わせが少ないなら価格や広告内容、問い合わせはあるのに内覧へ進まないなら情報の見せ方、内覧はあるのに申込みがないなら室内の印象や条件面など、段階ごとに原因を考える必要があります。
契約前に、次の点を確認しましょう。
・どのくらいの頻度で報告を受けられるか
・報告は電話、メール、書面のどれか
・閲覧数や問い合わせ数も共有されるか
・内覧後の感想をどこまで確認できるか
・反響が少ない場合の改善案は何か
・価格を見直す判断基準は何か
専任媒介契約と専属専任媒介契約には法令上の報告義務がありますが、報告のわかりやすさや分析内容まですべて同じになるわけではありません。
■5.費用とリスクをわかりやすく説明するか
不動産売却では、仲介手数料のほか、状況に応じて登記費用、測量費、解体費、残置物処分費、住宅ローンの一括返済費用、税金などがかかります。
査定価格が魅力的でも、必要な費用を把握していなければ、売却後の手取り額が想定より少なくなることがあります。
信頼できる担当者は、良い点だけでなく、次のような不確定要素やリスクも説明します。
・境界が未確定で測量が必要になる可能性
・未登記部分や登記住所の変更がある場合の手続き
・建物や設備の不具合をどこまで告知するか
・契約不適合責任の範囲
・住宅ローン残債が売却代金を上回る場合の対応
・相続登記や共有者の同意が必要な場合
・古家を残すか解体するかによる費用と売りやすさの違い
・売却益が出た場合の税務手続き
「必ず高く売れます」「問題ありません」と断定する担当者より、わからない点を調査し、選択肢ごとのメリットと注意点を説明する担当者の方が、売主は判断しやすくなります。
💡仲介手数料や登記費用、税金などの詳しい内容は、「不動産売却にかかる費用と税金」で確認できます。
■6.担当者の対応が正確で無理がないか
担当者を見極めるときは、話しやすさだけでなく、回答の正確さと一貫性を確認します。
次のような対応は、比較材料になります。
・質問に対して結論と理由を分けて説明する
・不明な点を曖昧に答えず、確認してから回答する
・売主の希望価格や期限、事情を聞いている
・売却を急がせる前に選択肢を示す
・デメリットや売れにくい条件も説明する
・連絡方法や時間帯の希望を確認する
・約束した期限までに連絡や資料を送る
・専門用語を使いすぎず、理解を確かめながら進める
反対に、査定価格の高さばかりを強調する、他社を根拠なく否定する、媒介契約をその場で迫る、質問への回答が毎回変わるといった場合は、すぐに決めず、説明を整理してから比較した方がよいでしょう。
■7.売主の目的を理解して提案しているか
不動産売却の正解は、すべての人に共通するわけではありません。
できるだけ高く売りたい人、期限までに確実に売りたい人、近隣に知られずに売りたい人、相続手続きを含めて進めたい人、住み替え先の購入と時期を合わせたい人では、適切な販売方法が異なります。
たとえば、時間をかけられる場合は仲介で市場の反応を見ながら高値を目指す選択肢があります。一方、期限が明確な場合や内覧対応が難しい場合は、買取を含めて比較した方が目的に合うことがあります。
会社側が勧めたい方法ではなく、売主の優先順位を整理したうえで複数の選択肢を説明しているかを確認してください。

不動産会社を選ぶ際、「大手と地域密着型のどちらが高く売れるか」と迷う人もいます。しかし、会社の規模だけで売却結果が決まるわけではありません。
それぞれに特徴があり、物件の所在地、売主の希望、担当者の経験、販売体制によって向き不向きが変わります。
| 比較項目 | 大手不動産会社に見られる傾向 | 地域密着型に見られる傾向 |
|---|---|---|
| 知名度 | 全国的・広域的な認知があることが多い | 営業地域内で認知されている場合がある |
| 店舗・顧客網 | 複数店舗や広域の顧客基盤を持つ場合がある | 地域内の顧客や事業者とのつながりを持つ場合がある |
| 販売体制 | 広告や社内制度が標準化されていることが多い | 物件に合わせて柔軟に対応する会社もある |
| 地域情報 | 広域データや多くの取引情報を持つ場合がある | 町名単位の事情や地域特性に詳しい場合がある |
| 担当体制 | 分業や担当変更がある場合もある | 一人の担当者が広く対応する場合もある |
| 得意分野 | 店舗・部署によって異なる | 会社ごとの専門性が比較的表れやすい |
この表は一般的な傾向であり、すべての会社に当てはまるわけではありません。大手でも特定地域に非常に詳しい担当者はいますし、地域密着型でも広域広告や豊富なデータを活用している会社があります。
■大手が向いている可能性があるケース
・広い地域の購入希望者へ情報を届けたい
・転居先を含めて複数地域の店舗連携を希望する
・標準化されたサービスや報告体制を重視する
・法人取引や一定の専門部署による対応を希望する
■地域密着型が向いている可能性があるケース
・町名や学区など細かな地域特性を重視したい
・地元の購入希望者や事業者への紹介を期待したい
・土地の利用方法や地域固有の事情を相談したい
・担当者と継続的に細かく相談したい
最終的には会社の看板ではなく、実際の担当店舗・担当者が対象物件にどのような販売計画を持っているかで判断します。大手と地域密着型の両方へ査定を依頼し、説明内容を比較する方法も有効です。

査定結果の説明を受けたら、その場で媒介契約を結ぶ必要はありません。候補となる会社へ同じ質問をすると、考え方や対応の違いを比較しやすくなります。
■査定と価格に関する質問
・査定価格の根拠になった成約事例を教えてください
・現在の競合物件と比べて、どこが強み・弱みですか
・推奨する売出価格と、その価格で売れると考える期間はどのくらいですか
・査定価格より高く売り出す場合、どのようなリスクがありますか
・反響が少ないときは、いつ価格を見直しますか
■販売活動に関する質問
・どの媒体へ、いつ掲載しますか
・レインズにはいつ登録しますか
・広告の写真や紹介文は誰が作りますか
・既存の購入希望者に該当しそうな人はいますか
・他の不動産会社から問い合わせがあった場合、どのように対応しますか
・内覧後の感想や反響状況をどのように共有しますか
■担当体制に関する質問
・実際の窓口は査定担当者と同じですか
・不在時は誰が対応しますか
・連絡や活動報告の頻度はどのくらいですか
・この地域・物件種別の売却経験はありますか
・境界、相続、残置物などの課題がある場合、誰と連携しますか
■費用と契約条件に関する質問
・仲介手数料以外に必要となる可能性のある費用は何ですか
・広告費などが別途必要になることはありますか
・媒介契約の種類と、それぞれを勧める理由は何ですか
・契約期間中に方針を変更したい場合はどうなりますか
・契約を終了するときに費用が発生する条件はありますか
質問に対して具体的な回答があるかだけでなく、資料や根拠を示して説明するか、売主の希望を聞いたうえで回答が変わるかも確認しましょう。
不動産会社選びでは、価格以外にも注意したい点があります。よくある失敗を先に知っておくと、比較時の確認漏れを減らせます。
■査定価格の高さだけで決める
高い査定価格に合理的な根拠がなければ、販売開始後に値下げが必要になる可能性があります。金額ではなく、成約事例、競合物件、売却期間、販売計画まで比較しましょう。
■知名度だけで決める
知名度は安心材料の一つですが、対象地域や物件種別を得意としているとは限りません。反対に、地域に詳しいという理由だけで十分とも限りません。会社の規模とは別に、類似物件の経験と具体的な販売計画を確認します。
■一括査定の依頼数を増やしすぎる
比較のために複数社へ依頼することは有効ですが、依頼数が多すぎると連絡対応に追われ、査定内容を丁寧に比較できなくなる場合があります。
まず机上査定で候補を整理し、その後に訪問査定を依頼する会社を絞ると、比較しやすくなります。会社数に絶対的な正解はありませんが、自分が説明を聞き、記録して比較できる範囲に収めることが大切です。
■担当者との相性だけで決める
話しやすさは重要ですが、それだけで選ぶと、査定や契約上の説明が不十分な場合があります。人柄に加えて、回答の正確さ、調査力、販売実績、会社の支援体制も確認しましょう。
■媒介契約の違いを理解せず契約する
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介があります。複数社へ依頼できるか、自分で見つけた買主と契約できるか、レインズへの登録義務、活動報告の頻度などが異なります。
どの契約が適しているかは、物件や希望する販売方法によって変わります。「専任なら必ず良い」「一般なら広く売れる」と一律に判断せず、契約内容と販売方針をセットで確認してください。
■売却開始後の対応を確認しない
査定時の説明が丁寧でも、媒介契約後に連絡が少なくなる可能性はゼロではありません。報告頻度、報告内容、内覧対応、改善提案、担当者不在時の体制を契約前に確認しておくことが大切です。
■デメリットやリスクの説明を軽視する
売主にとって都合のよい説明だけを聞くと、後から測量費や修繕対応などが必要になったときに想定外と感じます。売れにくい条件や費用の可能性を早い段階で説明してくれるかも、会社選びの判断材料です。
不動産会社選びは、次の順番で進めると情報を整理しやすくなります。
■STEP1.売却の目的と優先順位を整理する
まず、売却価格、期限、手間、周囲への情報公開など、何を優先するかを整理します。
・いつまでに売りたいか
・最低限必要な手取り額はいくらか
・住宅ローンはいくら残っているか
・居住中か空き家か
・内覧へ対応できる日時はいつか
・近隣に売却を知られてもよいか
・相続人や共有者の合意は取れているか
・高値と早期売却のどちらを優先するか
優先順位がわからないまま査定を受けると、会社の提案を比較する基準も曖昧になります。
■STEP2.候補となる会社を調べる
ホームページや店舗情報を確認し、営業地域、取扱物件、売却実績、担当体制などを調べます。
口コミは参考になりますが、個別の担当者や取引条件によって評価が変わるため、口コミだけで判断しないようにします。良い評価と悪い評価の件数だけでなく、どのような状況で何が評価されているかを見ると参考になります。
■STEP3.複数社へ査定を依頼する
査定条件をそろえるため、各社へ同じ物件情報と希望条件を伝えます。机上査定で概算を比較し、売却を具体的に進める段階では訪問査定を依頼します。
訪問査定では建物の状態、日当たり、眺望、道路、高低差、境界、周辺環境など、資料だけではわからない条件も確認されます。
■STEP4.査定書と説明内容を比較する
比較表を作り、次の項目を並べると判断しやすくなります。
| 比較項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 査定価格 | |||
| 推奨売出価格 | |||
| 参考にした成約事例 | |||
| 想定売却期間 | |||
| 販売方法 | |||
| 報告頻度・方法 | |||
| 対象地域・物件種別の実績 | |||
| 注意点・想定費用の説明 | |||
| 担当者の回答・対応 |
査定価格が異なる場合は、差が生じた理由を各社へ質問します。説明を聞いても不明な点が残る場合は、すぐに契約せず、追加資料を依頼して構いません。
■STEP5.販売方針と担当者を比較する
売主の目的に合った売出価格、広告方法、報告体制を提案しているか確認します。同時に、担当者が売主の質問へ正確に答え、都合の悪い情報も説明しているかを見ます。
■STEP6.媒介契約の内容を確認して決める
会社を選んだら、媒介契約書の内容を確認します。契約の種類、期間、報告頻度、レインズ登録、報酬、特約、契約終了時の扱いなど、不明点を残さないようにしましょう。
媒介契約後も、売出価格を最終的に決めるのは売主です。不動産会社の提案を参考にしながら、売却期限や手取り額を踏まえて決定します。

媒介契約を結んだ時点で、不動産会社選びが完全に終わるわけではありません。販売開始後の反響や担当者の対応を確認し、必要に応じて方針を見直します。
■販売開始後に確認したいこと
・約束した媒体へ物件情報が掲載されているか
・価格、面積、写真、間取りなどに誤りがないか
・物件の魅力と注意点が適切に伝わっているか
・問い合わせや内覧の状況が報告されているか
・購入希望者や他社からの問い合わせへ適切に対応しているか
・反響が少ないときに具体的な改善案があるか
掲載情報に誤りや不足があれば、早めに修正を依頼します。また、一定期間反響がなければ、価格だけでなく、写真、説明文、公開範囲、内覧条件、物件の見せ方なども含めて原因を検討します。
■値下げの提案は理由を確認する
販売中に価格変更を提案されることがあります。値下げが必要な場合もありますが、「売れないから下げる」という説明だけでは判断が難しくなります。
問い合わせ数、内覧数、購入希望者の意見、競合物件の変化、周辺の成約状況など、提案の根拠を確認しましょう。そのうえで、価格を下げる幅と時期、変更後に行う販売活動をセットで検討します。
■契約更新時は活動内容を振り返る
媒介契約の更新を検討するときは、査定時の説明と実際の活動を比較します。
・当初の販売計画は実行されたか
・定期報告の内容は十分だったか
・問い合わせに対する改善が行われたか
・担当者との連絡に問題はなかったか
・現在の価格と市場の反応を合理的に説明できるか
問題がある場合は改善を求めるほか、契約条件に従って別の会社を検討する選択肢もあります。ただし、契約期間や費用に関する特約がある場合は、事前に契約書を確認してください。
不動産会社選びの基本は全国共通ですが、地域の市場を理解しているかも重要な判断材料です。
■春日井市で確認したいこと
春日井市では、JR中央本線の駅への距離、名古屋方面への交通利便性、学区、幹線道路へのアクセスなどが購入検討に影響します。また、土地では接道、高低差、土地形状、用途地域などによって利用方法や評価が変わります。
勝川、春日井、神領、高蔵寺など、同じ市内でも地域特性は一様ではありません。担当者が市全体の平均だけでなく、町名や最寄り駅、類似物件の成約状況まで説明できるか確認しましょう。
■名古屋市で確認したいこと
名古屋市では区ごとの差に加え、駅距離、地下鉄・JR・名鉄などの沿線、用途地域、道路条件、周辺の建築計画などにより需要が変わります。
マンションであれば同一建物内の成約事例や管理状況、土地や戸建てであれば再建築や土地利用に関わる条件の確認が重要です。「名古屋市で実績がある」という説明だけでなく、対象の区・沿線・物件種別に関する経験を確認します。
■地域実績と広い販売網の両方を見る
地域を理解している会社でも、販売方法が限られていれば購入希望者へ十分に届かない場合があります。反対に、広い販売網があっても、地域特性に合わない見せ方では物件の魅力が伝わりにくくなります。
地域理解と販売力のどちらか一方ではなく、両方をどのように組み合わせるかを確認することが大切です。
不動産売却を依頼する会社は、査定価格の高さだけで決めないことが大切です。
査定価格は成約を保証する金額ではなく、不動産会社が取引事例や物件条件などをもとに示す予想価格です。他社より高い査定であっても、具体的な成約事例、物件の評価、想定する売却期間、販売計画が説明されていれば合理性がある場合もあります。反対に、根拠が曖昧な高値査定は、販売の長期化や値下げにつながる可能性があります。
不動産会社を比較するときは、次の7つを確認しましょう。
・査定価格の根拠が具体的か
・地域と物件種別を理解しているか
・販売戦略が希望条件に合っているか
・売却活動の報告と改善方法が明確か
・費用とリスクを説明するか
・担当者の対応が正確で無理がないか
・売主の目的を理解して提案しているか
大手と地域密着型にはそれぞれ特徴がありますが、規模だけで優劣は決まりません。実際に担当する店舗や担当者が、対象物件をどのように評価し、誰へ、どの方法で販売するのかを比較することが重要です。
複数社の査定書と説明内容を同じ項目で比較し、疑問点を確認したうえで、自分の売却目的に合う会社と媒介契約を結びましょう。
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