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不動産を売却すると、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。
不動産会社へ支払う仲介手数料をはじめ、売買契約書の印紙税、住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消費用など、売却の状況に応じてさまざまな費用が発生します。
土地を売る場合には測量費や建物の解体費が必要になることもあり、売却によって利益が出れば譲渡所得に対する税金も考えなければなりません。
そのため、不動産売却では「いくらで売れるのか」だけでなく、
「売却するためにいくら必要なのか」
「売却後にいくら手元に残るのか」
まで考えて資金計画を立てることが重要です。
この記事では、不動産売却を初めて検討する方にもわかりやすいように、売却時にかかる主な費用、仲介手数料の計算方法、税金、土地・戸建て・マンションによる違い、手取り額の考え方まで詳しく解説します。
※費用や税金は物件や契約内容などによって異なります。税制については適用要件や改正にも注意が必要です。個別の税務判断については税務署や税理士などの専門家へご確認ください。
■この記事でわかること
💡不動産売却で発生する主な費用
💡仲介手数料の計算方法
💡売買契約書にかかる印紙税
💡抵当権抹消や住宅ローン完済に関する費用
💡土地売却で発生しやすい測量費や解体費
💡戸建て、土地、マンションで費用がどう違うのか
💡売却時にかかる税金の基本
💡売却価格から手取り額を考える方法
💡売却前に確認しておきたい費用と書類

不動産売却で必要になる費用は、すべての売主に同じ金額がかかるわけではありません。
ほとんどの仲介売却で関係する費用もあれば、住宅ローンが残っている場合、境界確定が必要な場合、建物を解体する場合など、条件によって発生する費用もあります。
まずは全体像を把握しておきましょう。
| 費用 | 主な内容 | 発生するケース |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への成功報酬 | 仲介で成約した場合 |
| 印紙税 | 売買契約書に課税 | 課税文書となる売買契約書を作成する場合 |
| 抵当権抹消費用 | 登録免許税など | 抵当権が残っている場合 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きなどの報酬 | 司法書士へ依頼する場合 |
| 住宅ローン返済関連費用 | 一括返済手数料など | ローンを完済する場合 |
| 測量費 | 境界確認・確定測量など | 土地の測量が必要な場合 |
| 解体費 | 建物の取り壊し | 更地にして売る場合など |
| 残置物処分費 | 家具・家財などの処分 | 荷物が残っている場合 |
| 引越し費用 | 新居等への移動 | 居住中の家を売る場合 |
| 譲渡所得に対する税金 | 所得税・住民税など | 売却による課税譲渡所得が生じる場合 |
ここで重要なのは、「必ずかかる費用」と「状況によってかかる費用」を分けて考えることです。
例えば、住宅ローンを完済して抵当権もすでに抹消されている土地を売るケースと、住宅ローンが残っている戸建てを建物解体・測量後に売るケースでは、必要になる費用が大きく異なります。
そのため、「不動産売却には一律で売却価格の○%が必要」と考えるのではなく、自分の物件に必要な項目を一つずつ確認することが大切です。
不動産売却にかかる費用の中でも、比較的大きな金額になりやすいのが仲介手数料です。
仲介手数料は、不動産会社へ売却を依頼しただけで直ちに発生する費用ではなく、一般的には不動産会社の仲介によって売買契約が成立した際に支払う成功報酬です。
■仲介手数料には上限がある
宅地建物取引業者が受け取ることのできる仲介手数料には、法令に基づく上限があります。
売買価格が400万円を超える取引について、一般的によく使われる速算式は次のとおりです。
仲介手数料の上限(税込)=売買価格×3%+6万円+消費税
より正確には、
(売買価格×3%+6万円)×1.1
として計算できます。
例えば3,000万円で売却した場合、
3,000万円×3%=90万円
90万円+6万円=96万円
96万円×1.1=105万6,000円
となります。
したがって、売買価格3,000万円の場合、仲介手数料の上限は105万6,000円(税込)となります。
■売却価格ごとの仲介手数料の目安
| 売買価格 | 仲介手数料上限(税込) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39万6,000円 |
| 2,000万円 | 72万6,000円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 |
| 5,000万円 | 171万6,000円 |
※売買価格400万円超の場合の速算式による計算です。
仲介手数料は「上限額」ですので、必ずこの金額になるという意味ではありません。
媒介契約を締結するときには、仲介手数料の金額や支払い時期について確認しておきましょう。
■800万円以下の不動産には仲介手数料の特例がある
低価格の空き家や土地を売却する場合には注意が必要です。
2024年7月1日から、物件価格が800万円以下の宅地・建物については「低廉な空家等」の特例が設けられており、一定の条件のもと、仲介手数料について通常の計算とは異なる上限が適用されます。
その上限は、依頼者の一方から33万円(税込)です。
例えば「売却価格が300万円だから仲介手数料も単純に3%+6万円で計算すればよい」とは限りません。
特に地方の土地、古家付き土地、相続した空き家などを売却するときには、媒介契約前に仲介手数料を確認しておくと安心です。
不動産売買契約書は、印紙税の課税対象となる場合があります。
紙の売買契約書を作成する場合には、契約金額に応じた収入印紙を貼付し、消印する方法などによって印紙税を納付します。
現在、不動産の譲渡に関する一定の契約書については軽減措置が設けられています。
■不動産売買契約書の印紙税
2026年8月時点では、2027年3月31日までに作成される一定の不動産譲渡契約書について軽減措置が適用されています。
主な金額は次のとおりです。
| 契約書記載金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超~5億円以下 | 6万円 |
例えば、売買契約書に記載された契約金額が3,000万円であれば、軽減措置適用時の印紙税は1万円です。
印紙税については契約金額だけでなく、契約書の作成方法などによって扱いが異なることがあります。
また、軽減措置には期限がありますので、実際に契約するときの制度を確認してください。
住宅ローンを利用して購入した不動産には、一般的に金融機関の抵当権が設定されています。
不動産を売却して買主へ所有権を移転する際には、通常、この抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
そのため住宅ローンが残っている不動産では、売却価格だけでなく住宅ローン残高と売却後の手取り額を確認することが非常に重要です。
■抵当権抹消の登記費用
抵当権を抹消する際には登録免許税がかかります。
さらに司法書士へ手続きを依頼する場合には、司法書士報酬が発生します。
司法書士報酬は一律ではなく、依頼内容や事務所によって異なります。
また、登記上の住所や氏名が現在のものと異なっている場合などには、抵当権抹消とは別の登記が必要になることもあります。
そのため、決済直前になって慌てないよう、売却を開始する段階で登記内容を確認しておくことが大切です。
■住宅ローンの一括返済手数料
売却代金を使って住宅ローンを完済する場合、金融機関によっては繰上返済や一括返済に関する手数料が発生することがあります。
金額や手続方法は金融機関、契約内容、インターネット手続きか窓口手続きかなどによって異なります。
売却を具体的に進める段階になったら、金融機関へ
・現在のローン残高
・完済予定日現在の必要金額
・一括返済手数料
・抵当権抹消書類の受取方法
・完済手続きに必要な日数
などを確認しておきましょう。
土地や戸建てを売却するときに大きな費用となる可能性があるのが測量です。
すべての土地売却で必ず測量が必要というわけではありません。
しかし、境界が明確になっていない土地では、買主とのトラブルを防ぐために境界確認や確定測量を行うことがあります。
■なぜ売却前に境界を確認するのか
土地を売却するときには、
「どこからどこまでが売却する土地なのか」
を明確にすることが重要です。
現地に境界標が見当たらない、古い測量図しかない、登記簿面積と現況に違いがありそう、隣地との境界について確認が必要といったケースでは、土地家屋調査士などへ相談することになります。
特に古くから所有している土地や相続した土地では、境界資料が十分に残っていないことがあります。
■測量費は土地によって大きく変わる
測量費について「○万円」と一律に考えるのはおすすめできません。
土地の広さや形状だけでなく、
・隣接する土地の数
・道路との境界確認が必要か
・官有地との境界確認が必要か
・既存の測量資料があるか
・境界標が残っているか
・隣地所有者との確認状況
などによって必要な作業が変わるからです。
土地売却を検討するときには、「測量が必要か」「どの程度の測量が必要か」から確認することが大切です。
💡関連記事
「土地売却の流れと注意点|春日井市・名古屋市で必要な費用・税金・書類を解説」
古い戸建てが建っている土地では、
建物を残したまま売却する
のか、
建物を解体して更地として売却する
のかを検討することがあります。
解体する場合には、当然ながら解体工事費が必要です。
■解体費は建物の大きさだけでは決まらない
解体費は、
・木造、鉄骨造、RC造などの構造
・建物の延床面積
・前面道路の広さ
・重機が入れるか
・隣家との距離
・ブロック塀や庭木などの撤去
・地中埋設物の有無
・アスベストに関する調査や対応
などによって変わります。
そのため、坪単価だけで正確な解体費を判断することはできません。
■売却前に解体すれば必ず有利とは限らない
古家があるからといって、売却前に必ず解体した方がよいわけではありません。
買主が建物を利用したいケースもありますし、解体せずに「古家付き土地」として販売できることもあります。
また、住宅用地に対する固定資産税等の特例との関係なども考える必要があります。
「古いから先に壊してしまおう」と判断するのではなく、
現状のまま売る場合
と
解体して売る場合
の両方について、売却価格・売れやすさ・解体費・売却時期などを比較してから判断することが重要です。
仲介手数料や登記費用以外にも、物件の状態や売却条件によって費用が発生することがあります。
■残置物の処分費
相続した実家や長期間空き家になっていた住宅では、家具・家電・生活用品などが大量に残っていることがあります。
売主側で撤去して引き渡す契約であれば、処分費用を考えておかなければなりません。
荷物の量が多いほど費用も大きくなりやすいため、早い段階で整理を始めておくとよいでしょう。
■ハウスクリーニング費用
中古住宅やマンションを売る際、必ず専門業者によるハウスクリーニングをしなければならないわけではありません。
ただし、室内の汚れが目立つ場合などには、内覧時の印象を整える目的でクリーニングを検討することがあります。
費用をかけた分だけ高く売れるとは限らないため、実施する範囲を考えることが重要です。
■修繕費
売却前に設備や建物を修理するケースもあります。
ただし、中古不動産では買主が購入後にリフォームや建て替えを予定していることもあります。
売却前に大規模なリフォームを行っても、その費用をそのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。
修繕やリフォームは「売るために本当に必要なのか」を考えてから判断しましょう。
■引越し費用
現在住んでいる住宅を売却する場合には、新居への引越し費用も資金計画に含めておきます。
住み替えの場合には、
・現在の住宅の売却
・新居の購入
・住宅ローンの完済
・新しい住宅ローン
・引越し
など複数のお金が同時に動くことがあります。
売却価格だけを見るのではなく、住み替え全体の資金計画を作ることが重要です。
不動産売却の基本的な費用は共通していますが、物件種別によって注意したい費用が異なります。
| 物件種別 | 特に確認したい費用 |
|---|---|
| 土地 | 測量、境界確認、解体、残置物撤去など |
| 戸建て | 測量、解体、残置物処分、修繕など |
| マンション | 抵当権抹消、ローン完済、引越しなど |
■土地
土地では境界と測量が大きなポイントです。
古家がある場合には解体費も検討対象となります。
特に相続した土地などでは、境界・登記・建物・残置物など複数の問題を同時に整理しなければならないことがあります。
■戸建て
戸建ては土地と建物の両方を確認します。
建物を中古住宅として売るのか、古家付き土地として売るのか、更地にするのかによって必要な費用が変わります。
また、境界、建物の状態、残置物なども確認しておきたいポイントです。
■マンション
マンションでは通常、土地の確定測量や建物解体を売主個人が行うケースは一般的ではありません。
一方、住宅ローンの残高、抵当権抹消、引越し費用などは確認が必要です。
管理費や修繕積立金、固定資産税等の精算方法についても、売買契約や決済の段階で確認します。

不動産を売却したからといって、売却価格そのものに所得税・住民税がかかるわけではありません。
不動産売却によって利益に相当する「譲渡所得」が生じた場合、その譲渡所得をもとに税額を計算します。
■譲渡所得の基本的な計算
基本的な考え方は、
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得
です。
ここでいう取得費とは、単純に「昔買った価格」だけを意味するものではありません。
土地の場合は購入代金や購入手数料などが基本となり、建物の場合は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算する必要があります。
■譲渡費用とは?
譲渡費用とは、その不動産を売却するために直接かかった費用です。
代表的なものとして、
・売却時の仲介手数料
・売主が負担した売買契約書の印紙税
・売却のために行った測量費
・土地を売るために建物を取り壊した場合の一定の取壊し費用
・一定の立退料
などがあります。
一方、固定資産税や通常の修繕費など、不動産を維持・管理するための費用は、原則として譲渡費用には含まれません。
「売却に関連して支払ったお金なら全部譲渡費用になる」というわけではない点に注意しましょう。
■取得費がわからない場合は注意
相続した不動産や何十年も前に購入した土地では、当時の売買契約書が見つからず、取得費がわからないことがあります。
取得費がわからない場合には、売却価格の5%相当額を概算取得費として計算できる制度があります。
例えば3,000万円で売却した不動産の取得費が不明の場合、
3,000万円×5%=150万円
を取得費として計算することができます。
ただし、実際にはもっと高い価格で取得していた場合、取得時の資料を確認できるかどうかで譲渡所得の計算結果が大きく変わる可能性があります。
そのため、不動産を売却するときには現在の権利証や登記識別情報だけでなく、
・購入時の売買契約書
・建築時の請負契約書
・購入時の領収書
・取得時に支払った費用の資料
など、古い資料も探しておくことが重要です。
■所有期間によって税率が変わる
土地・建物の譲渡所得は、売却した年の1月1日時点の所有期間によって「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分かれます。
所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。
一般的な税率は次のとおりです。
| 区分 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
これに加えて、所得税には特別税が加わるため、実際の負担を考える際には注意が必要です。
また、マイホームなど一定の不動産には特例が設けられています。
■マイホームには3,000万円特別控除が使えることがある
自分が住んでいたマイホームを売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、
「自宅を売ったら必ず3,000万円控除できる」
という制度ではありません。
適用するには要件を満たす必要があり、他の特例との関係にも注意が必要です。
税金については内容が非常に広いため、譲渡所得の詳しい計算方法、3,000万円特別控除、所有期間による税率の違い、相続不動産の税金などについては、別記事で詳しく解説する設計とします。
■関連記事
👉不動産売却で利益が出た場合の譲渡所得税、所有期間による税率の違い、3,000万円特別控除については、「不動産売却にかかる税金はいくら?計算方法・税率・特例・確定申告をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
不動産売却で非常に重要なのが、売却価格ではなく最終的な手取り額です。
例えば3,000万円で売却できても、3,000万円すべてを次の住宅購入や生活資金として使えるわけではありません。
基本的には、
売却価格-売却に必要な費用-住宅ローン残債-税金等=手元に残る金額
という考え方になります。
ただし、税金は譲渡所得や特例などによって大きく異なるため、売却前の段階では「税引前の概算手取り」と「税金まで考慮した最終的な手取り」を分けて考えるとわかりやすくなります。
ここではイメージしやすいように、仲介で不動産を売却した場合の簡易シミュレーションを見てみましょう。
実際には物件ごとに測量、解体、登記、ローン、税金などが異なるため、あくまで費用を考えるための一例です。
■2,000万円で売却した場合
仲介手数料の上限は、
(2,000万円×3%+6万円)×1.1
=72万6,000円
です。
売買契約書の印紙税について、現在の軽減措置が適用される紙の契約書であれば、契約金額2,000万円の場合は1万円です。
この2項目だけでも、
73万6,000円
となります。
ここへ物件の状況に応じて、登記関連費用、ローン関連費用、測量費などが加わります。
■3,000万円で売却した場合
仲介手数料上限は105万6,000円。
印紙税は、現在の軽減措置適用時で1万円。
この2項目で、
106万6,000円
です。
例えば住宅ローンが1,500万円残っている場合、単純化すると、
3,000万円
-105万6,000円(仲介手数料)
-1万円(印紙税)
-1,500万円(住宅ローン残高)
=1,393万4,000円
となります。
ただし、これは抵当権抹消関連費用、一括返済関連費用、その他の費用や税金などを考慮していない概算です。
つまり「3,000万円で売れる」という情報だけでは、本当の手取り額は判断できません。
■5,000万円で売却した場合
仲介手数料上限は171万6,000円。
現在の軽減措置適用時の印紙税は1万円です。
この2項目で、
172万6,000円
となります。
売却価格が高くなれば仲介手数料も大きくなります。
一方、測量費や抵当権抹消費用などは必ずしも売却価格に比例するわけではありません。
そのため、売却価格に一定割合を掛けるだけでは正確な費用を計算できないのです。

不動産売却では、すべての費用を同じ日に支払うわけではありません。
費用が発生する時期を把握しておくと、売却代金を受け取る前に自己資金が必要なのかを判断しやすくなります。
| 時期 | 発生する可能性がある費用 |
|---|---|
| 売却準備 | 測量、残置物処分、必要に応じた解体など |
| 売買契約 | 印紙税、仲介手数料の一部など |
| 決済・引渡し | 仲介手数料、ローン完済関連費用、登記関連費用など |
| 売却後 | 譲渡所得に対する税金など |
仲介手数料の支払時期などは不動産会社によって取り扱いが異なることがあります。
「売却代金が入るから費用はすべてそこから払えばよい」と考えず、契約前・決済前に必要な現金について確認しておきましょう。
不動産売却では費用を抑えることも大切ですが、単純に「一番安い方法」を選べばよいわけではありません。
■必要のない工事を先にしない
売却前に、
「リフォームした方が高く売れるのでは?」
「古い家だから解体した方がよいのでは?」
と考える方もいるでしょう。
しかし、買主側がリフォームや建て替えを希望している場合、売主が先に費用をかけても、その全額を売却価格に反映できるとは限りません。
まずは現状での売却可能性を確認し、そのうえで必要な工事を判断することが重要です。
■測量や解体の必要性を売却計画と一緒に考える
測量や解体は大きな費用になりやすいため、「とりあえずやっておく」という判断は避けたいところです。
どのような条件で売却するのかを整理してから必要性を判断します。
■売却価格だけでなく手取り額で比較する
例えば、
A案:3,000万円で現状のまま売却
B案:150万円の費用をかけて3,100万円で売却
という選択肢があった場合、単純にB案の方が売却価格が高いから得とは限りません。
追加費用、売却までの期間、工事中の維持費、税金なども含めて考える必要があります。
不動産売却では、
「いくらで売れたか」ではなく「最終的にいくら残ったか」
まで考えることが重要です。
売却を始める前に、費用だけでなく必要な情報を整理しておくと資金計画を立てやすくなります。
■住宅ローン残高を確認する
住宅ローンが残っている場合には、まず現在の残高を確認します。
査定価格が3,000万円でもローン残高が2,900万円なのか1,000万円なのかで、売却後の資金計画は大きく異なります。
■購入時の書類を探す
特に重要なのが購入時の資料です。
・売買契約書
・建築請負契約書
・購入代金の領収書
・仲介手数料などの領収書
・取得時の関連資料
などが残っていないか確認しましょう。
購入時の資料は、将来の譲渡所得の計算に関係する可能性があります。
■登記事項を確認する
現在の所有者名義、住所、抵当権などを確認します。
相続した不動産の場合には、相続登記が済んでいるかも重要です。
■境界関係の資料を探す
土地・戸建ての場合には、
・確定測量図
・境界確認書
・地積測量図
・過去の測量資料
などがないか確認します。
資料が見つかれば、売却時の調査が進めやすくなることがあります。
■売却相談や査定を依頼しただけで仲介手数料はかかりますか?
一般的な仲介では、仲介手数料は売買契約が成立したことに対する成功報酬です。
査定を依頼しただけで通常の仲介手数料が発生するものではありません。
ただし、通常の仲介業務を超える特別な依頼をする場合などは別途費用について確認が必要です。
■仲介手数料は必ず上限額を支払うのですか?
いいえ。
法令で定められているのは、不動産会社が受領できる仲介手数料の上限です。
実際の仲介手数料については、その上限の範囲内で媒介契約時などに確認します。
■売却前にリフォームした方がいいですか?
必ずしも必要ではありません。
購入後に買主が自分の好みに合わせてリフォームするケースもあるため、先に大きな費用をかけることで必ず有利になるとは限りません。
まずは現状で査定・売却方法を検討してから判断するとよいでしょう。
■古い家は解体してから売った方がいいですか?
これも一概にはいえません。
建物の状態、土地の需要、解体費、税金、売却方法などによって判断が変わります。
解体する前に「古家付きで売る場合」と「更地で売る場合」を比較することが重要です。
■売却したら必ず譲渡所得税がかかりますか?
必ずではありません。
税金は基本的に売却価格そのものではなく、取得費や譲渡費用、利用できる特別控除などを考慮した課税譲渡所得をもとに計算します。
そのため、売却価格だけを見て税金の有無を判断することはできません。
■相続した不動産で購入価格がわからない場合はどうしますか?
まずは被相続人が購入したときの契約書などが残っていないか確認しましょう。
相続によって取得した不動産では、原則として被相続人の取得費や取得時期を引き継ぎます。
取得費がわからない場合には、一定の方法で売却価格の5%を概算取得費として計算することがあります。
税額に大きく影響する可能性があるため、古い資料だからといって簡単に処分しないことが重要です。
不動産売却では、
「いくらで売れるのか」
に目が向きやすいですが、本当に重要なのは、
「売却後にいくら手元に残るのか」
です。
仲介で売却する場合には仲介手数料がかかり、売買契約書には印紙税がかかることがあります。
住宅ローンが残っていればローン完済や抵当権抹消の手続きが必要になり、土地では測量費、古家があれば解体費が発生することもあります。
さらに売却によって譲渡所得が生じれば、税金についても確認しなければなりません。
だからこそ、売却を検討するときには、
査定価格 → 想定売却価格 → 売却費用 → ローン残高 → 税金 → 手取り額
という順番で考えることが大切です。
また、費用は物件によって大きく異なります。
土地、戸建て、マンションという物件種別だけでなく、住宅ローン、境界、建物の状態、相続、登記などによっても必要な費用は変わります。
売却を具体的に進める前に、自分の不動産では「何の費用が必要になりそうか」を整理しておくことで、売却後の資金計画も立てやすくなるでしょう。
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